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論文

パーキンソン症状を緩和するムクナ豆の天然Lドーパ 海外の研究例は?

ムクナ豆の天然L-ドーパは効かなくなりづらい

パーキンソン病を発症した場合、一般的に体内ではドーパミン不足が発生しており、症状を抑えるために足りないドーパミンを他から補わなくてはなりません。そこで第一選択としてLドーパ製剤が処方されますが、薬は長期服用する間に効きが悪くなる・急に効き目が出ることがある(オン・オフ現象)、効果の薄れる時間帯が出現する(ウェアリングオフ現象)等の問題をはらんでいます。
その問題を解決できる可能性を持つのがムクナ豆なのです。
ムクナ豆に含まれる「天然Lドーパ」は、薬と比較して、ゆっくり効き目を発揮し長い時間効くという特長があります。また長期間摂取しても効かなくなりづらいことも分かっています。ムクナ豆という選択肢を持つことで、薬の代替はもちろんのこと、薬が効かない時間帯にうまく利用すれば、生活の質・QOLを向上することが期待できます。ドーパミン不足に悩まれる方にはぜひ活用いただきたいと考えます。参考に、海外において薬の代替にムクナ豆を用いた研究例をご紹介します。

パーキンソン病におけるムクナ豆:二重盲検法、ランダム化比較試験、クロスオーバー試験

要約
目的:市販のレボドパ製剤による長期治療が困難なパーキンソン病患者のために、レボドパ(パーキンソン病治療薬の成分)含有マメ科植物であり、世界中の熱帯地域で生育しているムクナ豆(Mucuna pruriens , 以下MPと表記)をレボドパの代替供給源として使用できるかどうかを調査すること。
方法:薬学的処理を施さずに焙煎した種子から得られたMP粉末の、単回摂取の有効性と安全性を検討した。
重症化したパーキンソン病(PD)患者18名に以下の治療を行い、その順序は無作為に割り振られた。(1)分散型レボドパ(LD)3.5mg/kgとドーパ脱炭酸酵素阻害剤であるベンセラジド(DCCI)の併用(LD+DDCI、対照治療)、(2)高用量MP(MP-Hd、17. 5 mg/kg)、(3)低用量MP(MP-Ld;12.5 mg/kg)、(4)DDCIを含まないLDの医薬製剤(LD-DDCI;17.5 mg/kg)、(5)MP+ベンセラジド(MP+DDCI;3.5 mg/kg)、(6)プラセボ
予後の有効性は90分と180分での運動反応の変化とオン状態(on state)の持続時間で評価した。
安全性の指標として、あらゆる有害事象、血圧や心拍数の変化、運動障害(ジスキネジア)の重症度などを測定した。
結果:MP-Ld治療はLD+DDCI治療と比較して、運動反応は同等であり、ジスキネジアや有害事象は少なかった。また、MP-Hd治療は90分と180分での運動反応の改善が大きく、オン状態の持続時間が長くなった。
MP-Hd 治療は LD+DDCI治療 および LD-DDCI治療 よりも有害事象の発生が少なかった。心血管系の反応には差はなかった。
結論:MP単回摂取は、分散型レボドパ/ベンセラジド(LD+DDCI)との比較において、有効性と安全性における全ての非劣性評価項目を満たした。
高用量MPの臨床効果は、同用量のレボドパ単剤と同様であり、忍容性プロファイルはより良好であった。

引用)パーキンソン病におけるムクナ豆に関する論文 Roberto Cilia, Janeth Laguna, Erica Cassani, Emanuele Cereda, Nicolò G. Pozzi, Ioannis U. Isaias, Manuela Contin, Michela Barichella, Gianni Pezzoli,“Mucuna pruriens in Parkinson disease: A double-blind, randomized, controlled, crossover study”,Neurolog. 2017 Aug 1;89(5):432-438. doi: 10.1212/WNL.0000000000004175. Epub 2017 Jul 5.PMID: 28679598 PMCID: PMC5539737 DOI: 10.1212/WNL.0000000000004175doi: 10.1212/WNL.0000000000004175. Epub 2017 Jul 5.