血糖値にチェックを付ける様子

論文

ムクナ豆による血糖値降下作用 インスリン抵抗性の改善の可能性

隠れ糖尿病へのアプローチは可能か

我が国において、糖尿病および隠れ糖尿病(糖尿病予備軍)の合計数は1千万人を超えると言われており、糖尿病はまさに国民病と言えます。もともと欧米人に比べインスリン分泌能力が低い日本人の体質に加え、欧米型の食生活、運動不足など、糖尿病になるリスクは生活の中に多く隠れています。糖尿病を招きやすい原因の一つに「インスリン抵抗性」が挙げられます。これは血糖値を下げるために膵臓からインスリンが分泌されているにも関わらず、インスリンの効きが悪くなっている状態です。その原因には内蔵脂肪型肥満等が挙げられますが、アジア人では非肥満型の糖尿病患者も多く存在します。そんな中、インスリン抵抗性糖尿病患者体内で「カイロ・イノシトール」という物質が低下しているケースが注目されています。カイロ・イノシトールはインスリンの二次情報伝達物質(セカンドメッセンジャー)として機能する物質です。
つまりこのカイロ・イノシトールを摂取することでインスリン抵抗性及び糖尿病を改善できるのではないかというわけです。このカイロ・イノシトールがムクナ豆に含まれているという研究結果がすでに出ており、ムクナ豆の可能性がさらに広がると考えています。

ムクナ豆種子中の抗糖尿病性オリゴシクリトール

要約
クロマトグラフィーとNMRを組み合わせることで、ムクナ豆種子中にD-カイロイノシトールとそのガラクトース誘導体2種類が存在することが示された。検出された量は、ムクナ豆種子の確立された抗血糖作用を説明するものである。
Copyright 2005 John Wiley & Sons, Ltd.

引用)ムクナ豆に含まれる抗糖尿病性オリゴシクリトールに関する論文 Donato Donati 1, Lucia Raffaella Lampariello, Roberto Pagani, Roberto Guerranti, Giuliano Cinci, Enrico Marinello“Antidiabetic oligocyclitols in seeds of Mucuna pruriens”,
Phytotherapy Research,Volume19, Issue12 December 2005 Pages 1057-1060 Affiliations expand
PMID: 16372373 DOI: 10.1002/ptr.1790