大切なのはL-ドーパがきちんと残ったムクナ豆を選ぶこと
L-ドーパは大変壊れやすく、保管状況や加工の仕方により量が減ってしまいます。安全に効果を得るためには、適切な加熱や焙煎処理をすることが不可欠です。
まず加工・調理時に気をつけたいこと
- 煮豆を煮汁に長時間漬けておく。
- 過度の焙煎をする。
- 高温調理する。
これらはL-ドーパが減りやすいため十分に気をつけましょう。
製品選びにも注意が必要
大阪河﨑リハビリテーション大学の河野良平先生のムクナ豆のL-ドーパ量に関する研究では、市販のムクナ豆製品のL-ドーパ量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量したところ、以下のような結果が出ました。
本来のムクナ豆は重量当たり約4%のL-ドーパを含みます。加工品では粉末製品でL-ドーパが0.95~3.15%含まれたのに対し、ムクナ豆茶製品ではほとんどの製品で0.1%を下回ることが判明しました。これは焙煎加工時の熱によりL-ドーパが変性したことが原因と考えられます。このことからL-ドーパ摂取を目的とする場合には、加工後のL-ドーパをきちんと計測している製品を選ぶ等、製品選びに注意が必要です。
参考)第29回日本未病学会学術総会 【演題名】ムクナ豆(Mucuna pruriens)製品中に含まれるL-DOPA量の比較
粉末製品では粉色をしっかりチェック
ムクナ豆粉末の場合、単純な焙煎加工を行うとL-ドーパは簡単に壊れてしまいます。L-ドーパを壊さないためには、数値測定とともに、綿密な温度管理に基づいた焙煎が不可欠です。ムクナ豆製品を購入の際には粉色と焙煎加工後の数値を測定しているかをしっかりチェックしましょう。
吸収を高める食べ方
効率的にL-ドーパを体内に吸収するために、レモンなど柑橘系(酸性)のものとムクナ豆を一緒に摂ることもおすすめです。L-ドーパはビタミンCなどの酸性の液体に溶解しやすく、ビタミンCの持つ抗酸化作用がL-ドーパを防御してくれると考えられるためです。
参考)薬学教育第5巻(2021)薬学教育への栄養薬学の導入とその意義-提案に至った経緯と実施にあたっての課題北河修治(神戸薬科大学名誉教授)
食べる際の注意点
1.生や半生の豆に注意
豆は通常、トリプシンインヒビターという成分を含んでいます。これは膵蔵から分泌されるたんぱく質分解酵素「トリプシン」の働きを妨げます。豆を生食すると消化不良を起こすのはこの成分があるためで、これを避けるために十分加熱することが大切です。
2.一度にムクナ豆を多食しない
L-ドーパを含むムクナ豆は多食することで眩暈や吐き気、幻覚、不随意運動などの中枢神経症状が出現する可能性があるため、気をつけましょう。
3.茹で汁も一度にたくさん飲まない
豆を茹でた際の茹で汁にもL-ドーパは多く含まれるので、有効活用したいですね。一度にたくさんの茹で汁を飲むと、気分が悪くなったり、急に眠気に襲われたりすることがあるので、少しずつ摂るようにしましょう。
4.ポリフェノール酸化酵素と同時に摂らない
バナナや山芋に含まれるポリフェノール酸化酵素が、ムクナ豆に含有されるLドーパの吸収を阻害すると言われています。
せっかくお摂りいただいたL-ドーパの吸収の妨げになってしまうため、バナナ等を食べる場合はムクナ豆を食べてから2時間程度経ってからにすることをおすすめします。
基本の食べ方
豆は1日10粒、粉末の場合は1日に10gが目安です。これを1日3回に分けてお摂りください。個人によって適量は異なるため、基本量から始めて増減してください。
●色々な料理に使える煮豆
よく洗い一晩水に浸水させたムクナ豆を圧力鍋で煮ます。15~20分加圧後、冷ますと、ほくほくの煮豆の出来上がりです。そのままでも滋味深く美味しくいただけます。
●手軽なムクナ豆粉末
きな粉のようで使いやすい粉末タイプもおすすめです。しっかり焙煎後に粉末にしたものを選びましょう。
編集部のおすすめ!おいしい食べ方
毎日の食卓に取り入れやすく、続けやすい、ムクナ豆粉末のレシピをご紹介します。
●ムクナミニおにぎり
一口大のおにぎりに、ムクナ豆粉末をまぶしていただきます。あべかわ餅のように素朴で、飽きのこない味です。
●ムクナトースト
食パンにはちみつとムクナ豆をかけていただきます。
●シンプル!ムクナはちみつ
ムクナ豆粉末とはちみつを器に入れ、スプーンで練ります。一口大にラップで丸めてできあがり。
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