診察室の風景

論文

不妊症男性の精液の質向上

ストレス軽減・精子の質を向上

ムクナ豆は鬱症状を軽減するという報告も多くあり、それは不妊症に悩む男性にも良い効果をもたらすことが期待できます。男性の生殖機能は、自律神経の影響を大いに受けていることから、ムクナ豆で神経伝達がスムーズに行われることやムクナ豆に多く含まれるトリプトファンのリラックス効果により精神安定をもたらし、結果精液の質向上につながることは想像に容易いです。これは抗酸化ストレスだけでなく、心理面からも不妊領域での効果が期待できるということであり、紀州ほそ川創薬でも大いに注目しています。
もちろんストレス軽減効果は男女に差異はないため、女性にも安心して摂取いただき、鬱軽減やリラックスにお役立ていただけます。参考までに関連した論文をご紹介いたします。

ムクナ豆(Mucuna pruriens)によるストレスの低減と不妊男性の精液の質の向上

要約
本報では心理的ストレスを抱える不妊男性に対するムクナ豆の効果を評価した。
本研究は、不妊症検診を受け、アンケート結果と血清コルチゾール値の上昇から心理的ストレスを抱えることが認められる60名の被験者を対象とした。
対照として、被験者群と同年代で、精液パラメータが正常かつ、過去に少なくとも1回の妊娠を起こしたことのある健康な男性60人を選出した。
不妊の被験者には、ムクナ豆の種の粉末を1日5g投与した。
形態学的および生化学的な分析を行うために、治療開始前と治療3ヶ月後の2回、精液を採取した。
その結果、(治療開始前の段階で)心理的ストレスを抱える被験者の精子数および精子の運動性が低下していることが明らかになった。
さらに、血清コルチゾールと精漿中の過酸化脂質レベルの上昇、精液中のグルタチオン(GSH)とアスコルビン酸の減少、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)とカタラーゼ活性の低下も認められた。
ムクナ豆を投与することで、心理的ストレスおよび精漿中の過酸化脂質レベルが大幅に改善され、精子数および精子の運動性も改善された。
またムクナ豆による治療により、不妊症男性の精漿中のSOD、カタラーゼ、GSH、アスコルビン酸のレベルが回復した。
本研究の結果に基づき、ムクナ豆は不妊症男性の抗酸化防御システムを再活性化させるだけでなく、ストレスの管理にも役立ち、精液の質を向上させると結論づけることができる。

引用)Kamla Kant Shukla 1, Abbas Ali Mahdi, Mohammad Kaleem Ahmad, Shyam Pyari Jaiswar, Satya Narain Shankwar, Sarvada Chandra Tiwari
“Mucuna pruriens Reduces Stress and Improves the Quality of Semen in Infertile Men”,Evid Based Complement Alternat Med. 2010 Mar;7(1):137-44. doi: 10.1093/ecam/nem171. Epub 2007 Dec 18.PMID: 18955292 PMCID: PMC2816389 DOI: 10.1093/ecam/nem171